伸張反射とは

意味

筋紡錘のイメージ伸張反射(しんちょうはんしゃ、Stretch Reflex)とは、脊髄反射の一つで、骨格筋が受動的に引き伸ばされると、その筋が収縮する現象。 この収縮は、筋肉の伸展によって生ずる張力を、その筋肉の中にある筋紡錘が感受しておこるものである。とくに伸張反射は、重力に対抗して身体を支える筋(抗重力筋)に著明で、このことは動物の姿勢保持に重要な役割を演じていることを意味している。 つまり、姿勢調節のための筋の長さを一定に保つ負帰還回路(negative feedback loop)の作用としての機能でもある。またこの反射は、過剰に伸ばされた筋肉が損傷を回避するために収縮するという、一種の防衛機能的側面も有する反射でもある。

ストレッチングおける伸張反射

ストレッチングにおいて伸張反射とは、簡単にいうと「ある筋が急に引き伸ばされると、それ以上筋が伸びてダメージを受けないよう、その筋を収縮させて保護しようとする反射」と言える。 身近な伸張反射の例としては、膝蓋腱反射が挙げられるだろう。足裏が地面につかない状態で椅子などに座り、膝下の部分を叩くと反射的に大腿四頭筋が収縮し、膝が伸びる現象である。この現象をもう少し生理学的に説明すると以下のようなメカニズムとなっている。 膝蓋腱反射における反射弓の4要素
  1. 膝下(膝蓋腱)を叩くことにより大腿四頭筋が瞬間的に引き伸ばされた状態になる。
  2. 筋内に存在する筋の伸び縮みを感知するセンサー(筋紡錘)が反応し急激に引き伸ばされたことを感知する
  3. センサーの反応は「Ⅰa」という神経線維を通って脊髄に伝わる
  4. その反応は脊髄にあるその筋を支配している神経(α運動神経)に収縮の命令を出す
  5. 神経の命令に従って大腿四頭筋が収縮し膝が伸びる
反動をつけてストレッチングを行うと急激に筋を伸ばしてしまうことになるため伸張反射が起こりやすく、結果として筋が収縮してしまう。そのため、筋の柔軟性を高める目的として行なうスタティックストレッチングの注意点として「反動をつけずゆっくり伸ばす」と説明されるわけである。